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children's sphere(R15)・Final
少しライトに短編設定。R15です。
いつか必ずABCのB程度が出てきますのでお気をつけ下さい。
SSL設定。ちょっとオリジナル設定入っていると思います。
これもお気をつけ下さい。

自分がどうにも原田の恋人にしては子供っぽいと常々思ってしまっている千鶴。
そんな千鶴に足りないのは、未熟な容姿ではなく色気だと山南は言う。
彼によってとある媚薬を手に入れた千鶴は……?

「子供なんだから、仕方ねぇだろ」

 さくっ、と原田が千鶴の嘆きを切り捨てる。いや、切り捨てているわけではないだろうが、千鶴としてはなにやらあっさりとしすぎていてすれが少し――いや、かなりショックだった。原田の運転は淀みがなく、車は相変わらず滑るように進んでいく。

 助手席の千鶴が、どよーん、と落ち込んだのを感じ取って、原田は慌てて続けた。

「いや、あのな。悪い意味で言ったわけじゃねぇからよ!」

「……はい。本当に私、子供だと思いますし……」

「だから落ち込むなって。落ち込む原因になるもんじゃねぇだろ」

「充分、原因です」

 千鶴は卑下するわけでもなく、心のままに正直にそう答えた。原田が何か思ったのか、ウィンカーを点滅させる。車は減速し、ちょうどバス停留所のための車留めの窪みに滑り込んだ。

 原田はエンジンは切らないまでも、車を止める。

「千鶴。お前よ。自分が子供だってぇのがそんなに不安か?」

「それは……当然です」

 むしろ原田がそんな問いかけを自分にしてくることの方が千鶴には意外だった。原田は先ほどのように自分の欲望をきちんと抑えられるだけの『大人』の面を持っているから、自分のように精神年齢的な差もまったく気にならないのかもしれない。けれど自分は違うのだ。

 原田に比べれば全然人生経験が少なく、自分に対しての自信もない。今は原田と恋人同士であるが、あんなふうに寸前で止められるだけの理性を見せ付けられてしまうと、夢中になっているのは自分だけで、原田は自分に興味がなくなったらさっさと捨ててくれるような気がする。

 勿論、原田がそんなふうに薄情な男だとは思っていない。別れなければならないときでもしっかりと互いに納得できるように話し合って、そしてさよならを告げてくれるだろう。けれど、と千鶴は思ってしまうのだ。

(でも、もしかしたら)

「……千鶴」

 原田の手が、千鶴の頬に伸びた。指先が頬の柔らかさをなぞってくる。その指の動きが、とても心地よい。……だが、次の瞬間その指が、千鶴の頬を摘んだ。

「……ふえっ?」

 子供の悪戯のような仕草で、原田の指が千鶴の頬を摘んで引っ張る。痛みはさほどないように気をつけてくれていることが分かって、痛みにうめくというよりは驚きの方が強い。

「……はらだ、せんせ?」

「あのなぁ、千鶴。あんまり俺を買いかぶんなよ? 女よりも男の方が、ガキみてぇなこといっぱいあるんだからな?」

「……そう、なんですか?」

「そうなんだよ」

 原田は実に面白くなさげに答える。教師のときの原田は生徒である自分たちに感情の揺れというものを滅多に見せない。基本的に喜怒哀楽豊かな原田だったが、それは彼の心を現しているものではない。やはり教師として、子供を導く大人として、分別は持っている。

 だから千鶴の傍でこんなふうに顔をしかめたりするときは、千鶴に対して自分の素直な心を表しているということになる。それが、千鶴には嬉しい。嬉しいから、こちらも素直に反応を返してしまうのだ。

 きょとんとした千鶴の問いかけに、原田はますますバツが悪そうな顔になる。原田は運転席と助手席の間にある小さな小物入れに手を伸ばし、そこにある煙草を一本引き抜いた。

「火はつけねぇからよ」

「別に、構いませんよ」

「駄目に決まってんだろ、未成年なんだから。まだ身体が成長途中なのに害になるもんを自分から入れんな」

「……はい」

 怒られてしまったのだが、千鶴は嬉しくて笑顔になる。自分のことをこうやっていつも気遣ってもらえると、大切にしてもらっていることが分かるのだ。

 原田は火のつけない煙草を口の端にくわえる。どうにも言いづらいことを何とか口にしようとしているような、そんな印象を受けた。

「男の方がな。欲望ってもんに関しちゃ女より節操がねぇんだよ。俺も、正直――制服姿のお前を、どっかに引きずり込んでやろうかなとかな」

「……っ」

 露骨な物言いに、千鶴の鼓動がどきりと震える。飾らないストレートな物言いだからこそ、原田の本当の熱がひしひしと伝わってきて、千鶴は言葉を詰まらせる。少しばかりの恐怖のような感覚を覚えるのは、原田が今、教師としてではなく一人の恋人の男として自分の隣にいるからだろうか。

 原田は千鶴の怯えと不安と、期待が混ざった心もきちんと理解してくれているようだ。煙草のフィルター部分を甘噛みしながら、小さく笑う。苦笑めいたものだった。

「……悪ぃな。節操がなくてよ」

「そんなこと……」

 千鶴は小さく首を振る。確かに、怖いような気持ちがないわけではなかったが、それでも感じるものはある。

(原田先生が、私を求めてくれること)

 子供の自分でも、欲しいと言ってくれること。それが、千鶴には嬉しい。

「だからな、千鶴」

 原田がハンドルの上に両肘をついて、そこに上体を持たせかけた。千鶴の方に顔を向けて、原田は言う。

「欲しいんだったら変な酒とか薬とかの力は借りたりしねぇで、純粋に欲しがれよ」

「……で、も……ご迷惑をかけたり、したら」

「ていうか俺の方がかけてねぇか? 制服のまんま俺んちに連れ込もうとしちまってるし」

 原田が渋い表情になる。……確かに、原田の家に行くところを見られてしまったらある意味問題だ。私服ならばまだしも制服となると千鶴だと固定は出来なくとも生徒に手を出したとして問題になるだろう。

「……あ、あの……私の、家の手前で下ろしてもらって良いですか」

 原田が瞳を眇める。さらに渋い顔になっているところを見ると、本気で制服姿のままの千鶴を部屋に連れ込む気だったようだ。

 それだけ自分を求めてくれていることは嬉しい。自分も,それだけ原田のことを欲しいと思っているのだからなおさらだ。けれど、やはり出来る限りリスクは控えたい。何よりも原田のことを想うがためだ。

「……で、もしよろしければ……そのまま10分くらい、待っていてもらっても良いですか」

「……別にかまわねぇけど……何でだ?」

「着替えてきますので」

 千鶴の返答に、原田の瞳が軽く見開かれた。千鶴の言いたいことが、ようやく分かったようである。

「だから、待っていて欲しいんです」

「……そっか。じゃあ今すぐ送ってやらねぇとな」

「はい、宜しくお願いします」

 原田が車を再び動かし始め、千鶴の家へと向かう。

 原田の反論はなく、車は快適に走り出す。原田に対して色々なことを我慢しなくて良いのだと言ってもらえたような気がして、ずいぶん気持ちが楽になる。たとえば原田が欲しいと願うことも、抑えが効かなくなってしまった気持ちも、子供っぽいものだからと我慢しなくて良いのだ。

 なぜならば原田も、千鶴と同じように抑えられない気持ちを持っているのだ。……こんなふうに、時折暴走しそうになりそうな気持ちを。

 けれどそれを抑えているのが、単なる経験値で何とか過ごしていると言っているのだ。大人であろうと子供であろうと、その辺りは関係ないのかもしれない。そう思うと、気が楽になる。

(私だけが、原田先生を好きなんだってわけじゃなくて)

 原田も、同じほどに千鶴を好きだと想ってくれる。どちらがどちらをどのくらい想っているのかという度合いを考えてしまうことの方が子供なのかもしれない。

(なんだ、そうなんだ。無理しなくて良いんだ)

 二人きりでいられるときは、別に我慢をしなくても良い。以前から言われていたのに、やはり忘れがちになってしまうのも『子供』の証か。

 ふっ、と心が軽くなるのを感じて、千鶴はシートに深く沈みこむ。原田の運転はいつも気遣いに満ちて優しく、こうして会話が途切れると眠りに導いてくれるほどに心地よい。だから千鶴は、とてもリラックスした気持ちで言う。

「原田先生」

「ん?」

「なんだか今、すごく原田先生が大好きだなぁって思いました……きゃ!!」

 突然急ブレーキがかかり、千鶴は危うくフロントガラスに頭から突っ込んでしまいそうになる。勿論シートベルトもあり、原田が咄嗟に片腕を千鶴の身体の前に差し出してくれたため、何の問題もなかった。

「……悪ぃ! 大丈夫か!?」

「はい、平気です。で、でもどうしたんですか」

 一見すると、何の変哲もない道路だ。後ろに続く車両がなかったことが幸いで、原田の運転に文句のクラクションを鳴らすものはいない。珍しいミスに、千鶴は驚いてしまう。

 原田は気まずい表情になりながら、再び車を走らせる。

「あー……悪ぃ。不意打ち過ぎる攻撃で、やられまくった」

「……あ、あの……!?」

 何を言われているのか分からず、千鶴は困ったように原田に言ってしまう。原田は忌々しげに舌打ちして、フロントガラスを睨みつけた。

「……畜生、10分なんて待てねぇぞ。5分で支度して来い」

 あまりにも露骨な待てない宣言に、千鶴は軽く目を見開いたあとクスクスと笑ってしまう。欲しい欲しいと願っているのは自分だけではないと確かに実感できる一瞬だ。そして原田も彼が言う通り、千鶴が思う以上に大人ではないのかもしれない。

(原田先生って……)




「少しだけ、子供みたいですね」


HP初出 2010.08.07

**********


だから原田先生は結構子供なんだよーってお話。
マジな女には優しく余裕あるふりして、
千鶴ちゃんの一挙一動に内心で「うあああぁ、可愛すぎて襲っちまいてぇ!!」とか
思ってくれるヘンタイ左之さんが希望です、

……私の左之さん像って……(滝汗)
 
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